マンションで気を付けたいのがトイレの排水トラブルです。トイレが詰まりやすいもの、流してはいけないもの、災害時のトイレの使い方など、トイレの上手な使い方をご紹介します。更に洗浄水量の使い分け方法も知っておくと、エコに暮らすことができます。
マンションでのトイレのトラブル
流してはいけないものは?
マンションのトラブルでも困るのがトイレの排水に関することです。特に注意をしたいのが、流してはいけないもの、流れにくいものを流してしまうことによって起きるトラブルです。
排水管が詰まるとトイレが使えなくなるだけでなく、近隣やマンション全体にまで影響を及ぼしてしまうことがあります。中には、下階で汚水があふれた、共用部の排水処理設備に問題が発生して大掛かりな対処が必要になったケースもあります。
トイレの詰まりの原因になりやすいものをご紹介しましょう。
- ● ティッシュペーパー
- ● ウェットティッシュ
- ● 紙おむつ
- ● 生理用品
- ● 流せるペット用トイレ砂
- ● ペットの糞
- ● 流せる掃除用シート
- ● 食べ残しの食品
- ● 子どものおもちゃ
- ● 厚手の輸入トイレットペーパー など
流せると記載があっても
実際には流れにくいものもある
日本のJIS 規格に沿ったトイレットペーパーは、排水管をスムーズに流れるよう、定められた品質を保持しています。その基準となっているのは、水解性(水の中でのほぐれやすさ)です。
流せる掃除用シートやペット用トイレ砂などの製品類は、便利なため普及が広まっていますが、「トイレに流せる」と表示されていても、水解性が不十分なものも少なくありません。また海外製品は日本とは基準が異なります。
神奈川県が実施した「流せるティッシュ類の商品テスト(※)」では、「流せる」と記載されていても、実際にはほぐれにくいものがあり、下水道や浄化槽内で詰まる可能性があると指摘しています。
日本下水道協会では、排水管の詰まりや汚水のあふれ、環境汚染を防ぐためにも、「トイレに流せるのはし尿およびトイレットペーパーのみ」であり、そのトイレットペーパーはJIS規格に準じたものとしています。
ペットの糞に関しては自治体により見解が異なります。東京都下水道局では、ペットの糞には毛などが多く含まれていて、流し方によっては配管が詰まるおそれがあること、詰まりが発生した場合は自己負担で修理が必要になるので慎重に対応するよう警告をしています。
マンションでのトイレトラブルは自宅だけの問題では済まないケースも多いもの。便器からは流れても、途中で詰まる可能性を考え、JIS規格に沿ったトイレットペーパー以外のものは流さないようにすることが、トラブルを防ぐために大事なこととなります。
(※神奈川県 くらし安全防災局 くらし安全部消費生活課調べ)
洗浄水量の大と小
上手に使い分ければエコに
トイレの洗浄レバーやボタンには、「大」と「小」があります。皆さんはどのように使い分けをしているでしょうか。
「大」は大便用、「小」は小便用の意味で、それぞれに流れる水の量が異なります。この「小」ボタンは、今から60年ほど前、節水のために生まれました。
便器の機種にもよりますが、この「大」と「小」を上手に使い分けると、1カ月で720リットルの節水ができるというデータ(※)があります。トイレは家族全員が毎日何回も使う場所、流し方の工夫でエコな暮らしが実践できます。
自動洗浄機能が付いている便器の場合は、便座に座っている時間の長さで、「大」と「小」が切り替わります。長く座っていても「小」で流したい時は、立ち上がる前に「小ボタン」を押せば少ない水量で済みます。秒数はメーカーによって異なりますので、一度時間を計ってみるのもいいですね。
※)ミズカラ!WATER ACTION / TOTO調べ)
節水便器で洗浄水量に不安がある時
水量の増やし方
省エネ技術の進化で節水型の便器が登場し、以前に比べると少ない水量で流せるようになっています。しかし水量が少ないことに不安を感じ、増やしたいという声を聞くこともあります。
築年数が古いマンションなどで排水経路に問題がある場合、水量が少ないと便器内は問題なく洗浄できても、排水管の途中で詰まりやすくなることがあります。
そんな時は、洗浄水量の見直しをしてみましょう。多くの節水型便器は設定で水量を増やすことができます。また気になる時は、「大」ボタンを使うようにするのもいいでしょう。
洗浄水量の増やし方はメーカーや機種によって異なります。リモコンで簡単に操作できる機種や、専門家に依頼をしたほうがいい機種もありますので、取扱説明書を確認しましょう。
災害時にはトイレの水を流さない
非常用簡易トイレの準備を
大地震などの災害時のトイレの使い方についても注意が必要です。大きな地震の後など、一見大丈夫に見えても、排水管が破損をしている場合があります。
災害後すぐにトイレの水を流すと、逆流をしたり、下階の便器から汚水があふれたりといったことが起きる恐れがあります。
国交省の災害時のトイレに関するリーフレット(※)にも、大地震の直後、お風呂の水を使ってトイレを流したところ、1階のトイレから汚水があふれたケースが紹介されています。
災害後はすぐにトイレを流すことは避け、管理組合や管理会社に排水管に問題が無いかの確認を行ってから使用するようにしましょう。
いざという時のために非常用の簡易トイレを十分に準備しておくことをおすすめします。袋と給水シートがセットになっていて、便器にかぶせて使い、使用後はそのままゴミとして捨てることができるタイプもあります。最低3日分~7日分を準備しておくといいでしょう。
毎日の暮らしを支えてくれているトイレ、トラブルを防いで毎日を快適にお過ごしくださいね。
(※災害時のトイレ、どうする?/ 国道交通省 水管理・国土保全局 下水道部)
※掲載の情報は、2022年7月時点の情報です。