Vol.14「空間の質を上げる、光の使いかた。」前編
インテリア&プロップスタイリスト 窪川勝哉
タスクとアンビエント目的で選ぶ照明
照明は、生活空間において必要不可欠なアイテムであり、お部屋のコーディネートを考える際にも、家具や内装と同様に、とても重要な要素です。
そもそもの役割を考えると、夜間など暗い部屋のなかで過ごすのに十分な明るさがあればいいのですが、例えばシーリングライトひとつで部屋全体を照らそうとすると、光が均一に広がって、表情の乏しい、のっぺりとした空間になりがちです。
そこで考えたいのが、メリハリを効かせた、表情豊かな部屋をつくるための照明の使い方。
配置する位置や役割、器具としての機能などを見極めて、最適なものをベストな場所で使用するようにしましょう。
まずは配置する位置。主に高中低の3つのレベルで、それぞれにどんな照明を配置するかを考えます。
高は天井付近、中は飾り棚やデスク、カウンターなどの上、低は足元付近。
それぞれから光が発せられ、壁や家具、床などに光のグラデーションや光と影のコントラストが生まれることで、メリハリのある空間となり、奥行きが感じられます。
次に考えたいのはタイプごとの役割です。
照明には大きく分けてタスクとアンビエントがあります。タスクは、読書や料理といった作業をするために手元を照らすためのもの。必要なときだけ灯すといった使い方が主流です。
対してアンビエントは、壁や床などの周辺を照らすためのものです。こちらは部屋の明るさを調節したり、雰囲気を演出したりするものなので、気分やシチュエーションに合わせて使用します。
つまり照明を選ぶ際には、どこで使用するのか、どんな目的で使用するのかを考えることも大切だと言えます。
そして、機能を確認することも必須です。例えば、最近では充電式のライトも多く登場しているので、小ぶりなものであれば、デスクで読書灯として使ったり、テラスで星空を眺めるときのムード照明として使ったりと、必要な場所に持っていくことができるので便利。
寝室などでは調光機能付き照明も役立ちます。
基本的な照明のタイプ
1_ダウンライト
部分的に照明が必要な場合に効果的な、天井埋め込み式。器具が目立たず、空間がすっきりとして見えます。
2_ペンダントライト
空間のアクセントにもなる吊り下げ式。個性的なもの1灯でも、シンプルなものをいくつか吊り下げても。
3_シーリングライト
部屋全体をまんべんなく照らす天井取り付け式。シンプルなデザインでコーディネートしやすいものも多数。
4_シャンデリア
華やかな空間を演出する多灯型。クリスタルやガラスを使用しているものは光を拡散し、明るい雰囲気に。
5_スタンドライト
オブジェのように部屋の印象を左右するスタンドタイプ。手元を明るくしたり、片隅を柔らかく照らしたり。
6_フットライト
足元を照らす床置きタイプ。夜間でもスムーズに歩けるようにベッドの脇や廊下、階段などに置くと効果的。
7_デスクライト
読書や書き物など細かな作業をするときに、デスクやサイドテーブルに置いて、手元を明るく照らします。
イラスト: 原子高志