マンション・戸建を所有している場合、自分で住んでいても賃貸に出していても固定資産税・都市計画税という税金がかかります。
固定資産税・都市計画税は毎年かかる固定費であるため、マンション・戸建を所有するにあたっては税金の知識をインプットしておくのが得策です。
本記事では、固定資産税・都市計画税の概要と算出方法について、マンション・戸建の購入や買い替えを検討する方々が知っておくといい知識を解説します。
固定資産税・都市計画税とは?
固定資産税・都市計画税について、以下5つのトピックに分けて解説します。
- 固定資産税・都市計画税の概要
- 納税義務者
- 納税時期
- 納税方法
- 税額変動のタイミング(評価替え)
固定資産税・都市計画税の概要
固定資産税・都市計画税とは、東京都および各市区町村が不動産(マンションや戸建といった建物やその敷地等)の所有者に対して課税する地方税の一つです。
納められた税金は、その不動産が所在する自治体における道路や公園、水道などの整備のほか、街づくりに関する事業、介護や福祉の行政サービスなどの費用のために使われます。
納税義務者
1月1日時点でマンションやその敷地などの所有者として固定資産課税台帳に登録されている方がその年の納税義務者となります。
納税時期
第1期(6月)、第2期(9月)、第3期(12月)、第4期(2月)の年4回課税されます。
※東京23区の場合
※お住まいの場所によって異なるため、各自治体のホームページや窓口などへご確認ください。
第1期の納税月に送られてくる納税通知書に各期の納期および税額が記載されています。
納税方法
納税回数は一年分を一括で支払うか、年4回に分けて支払うかのいずれかを納税者が選択できます(いずれの場合も合計納税額は同一)。
具体的な支払い方法は市区町村ごとに異なる場合がありますが、一般的には以下の5つです。
- 現金支払い
- クレジットカード払い
- 口座振替
- ペイジー払い
- 電子マネー払い
税額変動のタイミング(評価替え)
固定資産税・都市計画税は3年に1度変動する可能性があります。
両税金の算定のもととなる、マンションやその敷地などの評価額(適正な時価)が3年に1度の頻度で見直されるためです。
評価額の見直しは「評価替え」と呼ばれ、直近では2021年度が評価替え年度でした。
この評価額は国土交通省や不動産鑑定士などの専門家が算定する客観的な価格であるため、個人間で自由に行われる実際の売買における価格とは必ずしも一致しません。
社会情勢や周辺環境の変化などにより所有しているマンションの評価額が上昇すると、固定資産税・都市計画税も上昇する可能性があるという点は認識しておきましょう。
新築マンションは6年目で固定資産税が上がる
2024年3月末までに新築された住宅については、建物の固定資産税に対し軽減措置がとられます。ここでは、新築マンションのケースを説明します。
この新築建物の軽減措置の対象となるのは、面積が以下の条件を満たす物件です。
-
共同住宅(マンション等)の場合、居住部分の床面積※が50㎡以上280㎡以下であること
※居住部分の床面積に、共用部分(廊下や階段など)の床面積を按分して合算したもの - 一戸建て以外の貸家住宅の場合、一戸あたりの床面積が40㎡以上280㎡以下であること
- 賃貸併用住宅の場合、床面積の2分の1以上が自己居住用であること
2024年3月末までの新築である3階以上の耐火・準耐火建築物は、建物(床面積120平方メートルまで)部分の固定資産税が新築日の翌年分から5年間(認定長期優良住宅の場合には申請により7年間)、2分の1に減額されます(2022年4月現在)。なお、都市計画税は減額がありません。
軽減措置期間が終了となった6年目からは減額されなくなるため、固定資産税が上がる(元に戻る)ことになります。新築戸建ては軽減措置期間が3年間(認定長期優良住宅の場合には5年間)と異なりますので、ご注意ください。
固定資産税・都市計画税の算出方法は?
マンションに対して課される固定資産税・都市計画税は、それぞれ土地(敷地)と家屋(建物)に分かれて算出されます。
固定資産税・都市計画税、土地・家屋の各パターンの組み合わせについて税額の算出方法を見ていきましょう。
固定資産税の算出方法(土地編)
土地の固定資産税の算出は以下の計算式によって行われます。
課税標準額×標準税率(1.4%※)
※自治体によっては税率が1.5%、1.6%の場合もあり
土地における課税標準額は、その土地の評価額(固定資産評価基準)と特例措置による価格変動を加味して算出されます。
特例措置には具体的に以下2つのようなものがあります。
- 住宅用地の減税措置:住宅用地(マンションの敷地部分)の面積に応じて課税標準額が減額される制度
- 税負担の調整措置:不動産価格の変動に伴う税負担の急激な変動の緩和を目的とした措置で、負担水準(前年度課税標準額/今年度の評価額の値)を均衡化させるための制度
特例措置の適用により課税標準額が減額され、税額も減る可能性があるという点を認識しておきましょう。
固定資産税の算出方法(家屋編)
家屋の固定資産税の算出は以下の計算式によって行われます。
課税標準額×標準税率(1.4%※)
※自治体によっては税率が1.5%、1.6%の場合もあり
家屋における課税標準額は、以下2つの要素を勘案して算出されます。
- 再建築価格:同じ土地に同じ建物を新築する場合に必要になる建築費
- 経年減点補正率:経年によって減少する建物の減価率(経年劣化の割合)
家屋の場合、以下2つのような減税措置があるため知っておくといいでしょう。
- 新築住宅の減税
- 認定長期優良住宅の減税
都市計画税の算出方法(土地編)
土地の都市計画税の算出は以下の計算式によって行われます。
課税標準額×制限税率(0.3%※)
※自治体によっては税率が0.3%未満の場合もあり
都市計画税においても固定資産税と同様に住宅用地の減税措置を受けることができます。
ただし、都市計画税における減税額割合が固定資産税よりも少ないという点は認識しておきましょう。
都市計画税の算出方法(家屋編)
家屋の都市計画税の算出は以下の計算式によって行われます。
課税標準額×制限税率(0.3%※)
※自治体によっては税率が0.3%未満の場合もあり
都市計画税の場合、固定資産税のように家屋部分に対する減税措置は原則としてありません(自治体によっては条例により特別に軽減の特例を設けている場合あり)。
固定資産税も資金計画に織り込んでおこう
固定資産税・都市計画税はマンションを所有している期間に毎年かかる固定費の一つです。
管理費・修繕積立金などの固定費とともに資金計画に織り込んでおき、滞納がないように支払いの準備をしておきましょう。
著者:吉田 謙太郎
宅建士・不動産投資家・ライター|筑波大学卒業後、大手不動産会社にて投資用不動産の売買および賃貸営業・投資家へのコンサルティング・自社メディアでの記事執筆などを行う。自身でも社会人1年目(22歳)から不動産投資をしており、横浜市・大阪市・神戸市に区分マンションを4戸運用中。保有資格は宅地建物取引士、マンション管理士、管理業務主任者、3級ファイナンシャル・プランニング技能士。